suztomoの日記

To be a good software engineer

The Right It

けんすうさんの起業おすすめ本3位邦題"No FLOP"の原著。図書館で借りた。

新しいプロジェクトのアイデアは「普通は失敗する」という事実を受け入れて、その検証を自分達でなるべく早く、安くやる方法を紹介する本。沢山のアイデアを素早く検証し失敗させることで、本当に正しいアイデア(The Right It)を実行できるようにしましょうという教え。

Part Ⅰ: Hard Facts

それがどれだけ厳しいものでも、真実が好きだ。

1 The Law of Market Failure

新規プロジェクトや製品は「どれだけ上手に実行しても普通は失敗する」という事実を受け止める。

Market failure: 期待を持って投資(金、時間、名声)をしたが、その期待に合う成果が出ないこと。

成功の方程式:

Right A x Right B x Right C x Right D x Right E, etc. = Success

全て上手くいかないと成功しない。

Failophobia. 成功か失敗かわからないプロジェクトよりも既に成功しているプロジェクトに入りたい個人の心理。企業のイノベーションの敵。

FLOP. 失敗の典型例:

  • Failure due to Launch. 対象となる人々が商品を知らない。
  • Failure due to Operations. デザインや機能がユーザの期待以下。
  • Failure due to Premise. 人々は知ってるし機能も期待通りだけど、ユーザは興味ない。最初から市場が欲していない。これが1番多い。

Make sure you are building The Right It before you build It right.

2 The Right It

The Right It: ちゃんと実行すれば成功するアイデア。成功するのはアイデアを盗んだ別の人になるかもしれない。

The Wrong It: ちゃんと実行しても失敗するアイデア

Thoughtland. 妄想のなかだけで考えること。

Thoughtlandの4つの罠。

  • Lost-in-Translation problem. Uberの話を聞いときは駄目なアイデアだと思ったが、実際使ってみるととても良いものだと分かった。
  • Prediction problem. 人は予測が下手。
  • Skin-in-the-game problem. アンケートだけでお金を払ってない人の意見は現実とは乖離している。
  • Confirmation-bias problem. もともと持っていった考えに執着してしまうという傾向.

データを使ってThoughtlandから出よう。

3 Data Beats Opinions

意思決定に使うデータの4条件

  • Freshness
  • Strong relevance
  • Known provenance. 手法やバイアスが分かってないといけない。
  • Statistical significance

大抵他人が集めたデータ(Other People’s Data; OPM)はこのうちどれか満たしていない。なので自分達で集めたデータ(Your Own Data; YODA)に頼るべき。

Part Ⅱ: Sharp Tools

4 Thinking Tools

Market Engagement Hypothesis (MEH). とあるアイデアに対してそのターゲットとする顧客がどう振る舞うかという仮説。例えばオンライングロッサリーストアはいつもスーパーに行っている人がオンラインで少し買い物をするようになるだろうと言う仮説

XYZ Hypothesis. 数字で仮説を検証可能な形にする。At least X % of Y will do Z.

Hypozooming. 上のYはとても大きいので部分集合yを選ぶ。100人から1000人。

次はその対象を使って本当に欲しい人がいるのかテスト。

5 Pretotyping Tools

Pretotypingは作者の造語。IBMの音声入力デモのようにpretendとpreとprototypingをかけている。数時間、数百ドルでできる実験。

Mechanical Turk Pretotype. IBMの音声入力の例。機械の裏に人間がいる。

Pinocchio Pretotype. PDAを発明したJeff Hawkinsは木でできた板に文字や線を書いてポケットに入れて、まるでコンピュータであるかのように振る舞い1ヶ月持ち歩いた。スケジュール管理やアドレス帳に使いたいと分かった。

Fake door pretotype. 広告に想像のものを書いて$5クーポンとともに反応を見る。

One Night Stand pretotype. AirBnBの創業者がcraigslistで見知らぬ人を$80で泊めてあげた。テスラが一時的にお店を出してどの通りが良いかデータを集めた。

Infiltrator Pretotype. 商品をちょっとだけ作って既存のお店の棚に並べる。

6 Analysis Tool

Skin-in-the-game Caliper. 言葉だけで友達や専門家が良いアイデアだといってもあてにならない。コストを実際に払ってまで使いたいかを調べるべき。

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Skin-in-the-game Caliper

Part Ⅲ: Plastic Tactics

早く安くマーケットのデータを集めるべき。

7 Tactics Toolkit

Think globally, test locally. 大きなアイデアを身近なところで試してデータを得る。ウェブならフォーラムの主催者に頼むのもいい。

Thoughtlandのcomfort zoneで何ヶ月も練ってないでデータを集めるべき。

Fear of rejection, the fear of finding out that there is no market interest for your beloved idea.

Distance to data. 近所でデータを集めよう。

Hours to data. どれだけでマーケットの存在を確かめられるのか。なるべく早く集めよう。

Tweak It and flip It before you quit. Stanfordの教授Tina SeeligのCreativityのコースでは既存のビジネスの常識を一つ一つひっくり返すことでアイデアを沢山捻り出せる。TinaのMediumの記事: "What does your life look like upside down?"

link.medium.com

8 Complete Example: BusU

通勤バスの中で勉強するアイデアをどう評価するかの実例。

こういう風にデータを集めるとVCから投資してもらいやすい。

9 Final Words

Pretotypingはマーケットを試すとともに、本当にこれが自分のやりたいことなのかを試される。おむつビジネスのアイデアをPretotypeしたけど、結局辞めた人の例。あとで気づくより良かった。

中毒性のあるものはマーケットを調査すれば成功するが、違法なことは避けろ。

自分が問題を解決することで世の中の役に立つと、自分のやる気も出るし周りからのサポートも得られるから良い。