太田さんのTwitterより
Finished reading Jim McKelvey @2000F’s Innovation Stack. Very interesting stories on Square’s early days and how they won against the predator AMZN. Loved the message like “innovation has no experts / copy when you can - invent you have to”. > https://t.co/8LjsNJFIQE pic.twitter.com/2ozB87TYo6
— Kazuki Ohta (@kzk_mover) February 14, 2021
Squareの成功を顧みて、本当に新しい商売をする時にどうしたら良いのか、巨大企業(Amazonとか)にも負けないのかという問いに答える本。Innovation Stackとはゴールに対して必要なことを積み重ねていくこと。その必要なことを極めていけば競合が一部をコピーしても叶わない。
NYPLで電子書籍を借りた。
Introduction
巨大なAmazonのような会社にも勝てたSquareや他の会社の共通する点があった。
Square up: bring fairness to previously unfair system
Innovation Stack: 問題を解決してまた問題が出てきてを繰り返すうちに鎖のようになってくるもの。
entrepreneurs: 本当に新しい事を始める人。(ベビーシッターや理髪店ではない。)
Part 1 Solving a Perfect Problem
Squareは小さい商店が高い手数料を払っている(とても複雑な)クレジットカード業界を良くしたかった。VCには言わなかったが商店を持つ以前の”Bob”のような人も助けたかった。
マーケットの端っこが一番面白い。なぜ小さい商店はAmexを使えなかったのか。なぜBobは現金で会計をしなければいけないのか。
Innovation Stack。一つの問題を解決すると次に他の問題が出てくる。Squareでステートメントにお店情報を載せたい(良いUXのため)のでネットワークを選ぶが、それは値段が高くて高くて安全性は劣る方法であった。こと新しい問題は直ぐに解決せずとも良かった。
Squareのカードリーダーは初期にアルミニウムで作ってしまう間違いをしたが、数時間で問題を解決できた。商品開発は自分達でやろう。外注していたらこの間違いに気づくのに数ヶ月掛かったかもしれない。
顧客対応は電話はしない。メールのみ。なので顧客を満足させるにはシンプルでわかりやすい方法にしなければならない。「so we have to ...」という繋がり。
AmazonがRegisterという安い、より正確なデバイスをカスタマーサポート付きで参入してきた。しかしSquareがやっている事は全て理由があるやり方なので何も手を打たなかった。”doing nothing different”. Amazonがどれだけ時上手くやっているかは調べなかったが、Amazonのリーダーは街で見なかった。2015のハロウィンにAmazonがRegisterの中止を発表。
Part 2 Mythical Expert
過去にInnovation Stackを持っていた人の話。A. P. GianniniのThe Bank of ItalyのInnovation Stack.
- Focus on the Little Fellow
- Banking for Women
- Low Rates
- Direct Sales Force
- Advertising
など。これらが全て"they had to"で繋がっている。
業界を変えても業界の最初の創業期はこのような解決策と問題のサイクルがあるものである。
IKEAも同業他社のトレードショーから追い出されてカタログでお客を惹きつける必要があった。スウェーデン国内の工場はIKEAから注文を受け付けないので海外(ポーランドで)作り始める必要があった。輸送ふるには家具を上手く箱に詰める必要があった。それにはカスタムデザインが必要。などがIKEAのInnovation Stack.
Southwest Airlines by Herb Kelleher.
従業員は経験が浅くてもフレンドリーな人。お客さんや株主の意向よりも従業員の言うことが大きい。
学校や本はHowを教えてくれるが、それをいつ使えば良いか(when)は教えてくれない。問いは今から後か。大体答えは今やるべし。
しかし、Innovation stackの要素がまだできていない時は待つのもいい。Facebookが上手くいったのはモバイル(と写真付きスマホ)が発達したから。先行者はいたが、その時はモバイル対応が欠けて居た。
Squareがカード会社の決断を待っている時にも他の要素を進めて居た。特に動く装置が無ければ説得出来なかっただろう。
正しいことをやってる時は不確実さを感じるはず。感じてなかったらもう遅い。
Part 3 Innovation Physics
Innovation Stackのそれぞれを80%コピー出来たとしても駄目。要素はそれぞれ因果関係があるのから。UnitedがTedという格安航空会社を作ったが、高回転で飛行機を運用する文化を作れずにSouthwest Airlineに負けた。
普通の会社ならば競合との競争、攻撃に対処する必要があるが、新しい市場を作り出そうとするentrepreneuralな会社は顧客に注力していれば良い。
The Curse of Knowledge. 知りすぎている事で顧客に上手に説明できない。
Linguistic Gravity. 言葉の選び方が原因で、既存のものと同じだと思われて使ってもらえない事。Southwest航空は、飛行機は高くて自分向けじゃないという人に対してlow costという言葉を常に使った。
Feedback Failure. 著者が立ち上げたnonprofitのLaunchCodeは職がない人を助けるというメッセージを出していたので、企業側はDiversityの為に余裕がある時に雇うものだと勘違いしていた。もっと早くからこのすれ違いを知りたかった。
Process difficulty effect. 少し難しい方が人々は覚える。IKEA effect: 自分で試行錯誤して作った家具は好きになりやすい。
Pricing. 高い品質を保った上でそれを安くするべき。競合の値段は気にするべきではない。Either-orの思考に入ってはいけない。
競合がいないときでも値下げが出来るならするべき。従業員は顧客を搾取しているか見ている。顧客を搾取する会社は従業員を搾取するし、従業員はそれを感じ取る。
Disruption. 新しい企業が他の会社から客を奪っているように思われるが、SouthwestやIKEAの韓国参入ではマーケット自体が大きくなった。
Humility. 謙虚さ、人助けをする意欲。
恐怖がある中でも特定のことをやるのを訓練しておけば役に立つ。
新しい事をしているならば過去の経験はいらない。経験を持っている人を雇う事ができる。往々にして経験の無さはやらない言い訳に使われる。
Squareの上場後お金やコネクションは増えたが、それらは新しいことをやるには役に立たないものだ。
St. Louisに戻って従業員の家族が殺害される事件が起こった。教育は適切になされない地域の格差の問題。プログラマの教育問題。良いプログラマは自分で勉強する。会社は未経験を雇わない。
自分が取り組む良い問題を見つけよう。新しいことをやるのに経験は要らない。経験がないことは言い訳にならない。