NYPLで物理本を借りた。Spotify社内のエコノミストの人が音楽業界の通ってきたデジタル化の波を解説する本。規模が大きい話が多くて自分の身の回りに活かせそうなトピックはあまり感じられなかった。
Best graduation gift. @willpagesnc was our guest speaker in @profgalloway’s Brand Strategy class pic.twitter.com/xghAVLo3AS
— Alfred Haidamous (@FreddyHaidamous) May 19, 2021
ここで言及されているGalloway教授はポッドキャストをやっていてそれを時々聞く。NYUのビジネスの教授をやっている人。
Tarzan Economics
Spotifyで著者が見たことには、音楽業界がCDの販売からストリーミングに切り替わったのでコーラスが前に来るようになり、曲が短くなった。
音楽レーベルはナップスターのユーザを訴えていた一方でその中でのダウンロード数を音楽プロモーションのデータとして購入していた。
Look at what Sweden is doing and just scale that instead
スウェーデンに学べ。スウェーデンでは音楽違法ダウンロードを早くに広まったし、それをビジネスにするSpotifyが現れた。国の保障が厚いのが原因か。
Paying Attention
ユーザの注意(attention)や時間を有限な物として捉えて各社がそれを獲得しようと競争している。
Nielsenという会社はラジオやテレビの視聴率を調べる機械を作った。下の言葉は創業者Nielsenの言葉
If you measure something, you know something
Contestability. 一緒に楽しむコンテンツと代替になってしまうものを区別すること。Netflixを見ながら読書はできないが、Spotifyを聴きながら読書はできる。
Drawing a Crowd
Tarzan economicsではone-to-manyの売り方は終わった。プラットフォームでone-to-oneが沢山作って貰うのがこれからのやり方。
Tupperwareのタッパーはグループで売ると上手く行った。友達が買うなら私も買おうと言う流れ。関係性の上に購買がある。
Veganomics. 人々の中には肉を食べないビーガンの人が少しだけいる。その人は他の人と会食するかもしれないが、レストランにビーガンのメニューがないとそのグループは行けない。ロングテールだからといって少数者の嗜好を無視するとそのダメージは何倍にもなって返ってくるというのがveganomics。少数の嗜好も満たす場所、プラットフォームはTarzan Economicsのポイント。
Make or Buy
Buyはこれまでのやり方、Makeはこれからの自分達でユーザに届く方法を作り出していくやり方。
Radioheadはファン向けに無料でmp3を配って寄付を募るなどの実験を行った。これからの時代ではクリエイターはファンと直接繋がる。KickstarterやPatreonがその流れ。
Self-interest v Common Good
自分だけの利益を考えるべき時と、皆と協力した方がいい時(collective)はそれぞれどんな時か。
Euroという通貨は皆で協力していいものを作る良い挑戦だ。Euro圏に入る前はdevaluationをして自国通貨の価値を下げて輸出を有利にするのが選挙前の作戦だったがそれをできなくなる。
Google chief economistのHal Varian曰く、マーケットが効率的ならばなぜ会社の中にマーケットがないかと言うとtransaction costが高いからだと。従業員同士が出来上がりつつある部品を取引するのは馬鹿げている。Transaction costs: search, bargaining, and enforcement.
Ernest Bourgetが自分の歌を演奏しているお店に行った時にワインしか注文出来なくて怒って商工会に訴えたらお店がBourgetに支払いを命じたのが歌の著作権の誕生。
新聞もcollectiveにすればいいのではないだろうか。Spotifyの成功はユーザは歌手がUniversalかSony musicか気にせず聴ける事。新聞の記事もWall street journalかWashington postか気にする必要があるだろうか。
Pivotal Thinking
理屈だけでは解けない現実世界の問題を感情、政治などを混ぜながら解く。
例えば、レストランのメニューからお金の記号を消すと8%売り上げが上がる。イギリス政府のGift Aidは寄付に25%の税クレジットをするようにしたら寄付の数が減った。社会性のものに金融商品のようにしたらダメ。
Flywheels. 大きくなり動き続けるの更にそうなりやすくなる仕組み。ネットワーク効果や機械学習などで大きくなればなるほどユーザにも便利になり、競争に強くなる。独占は悪だと学校では教えられるがpivotal thinkingでその前提をよく見直してみよう。教科書には載っていない。
傍観者ではなく当事者として問題に取り組もう。そうしないとpivotal thinkingは起こらない。
Judging the state we’re in
サブプライムローンのバブルの時に新卒の人が家を6戸も持っていて投資をしていた。当時イギリス政府のエコノミストとして働いていた著者は政府がこの異常な投機熱を測れていたのかと気になった。 統計をやっている友人にその事をはなしたらimputed rentというのを測るという。お金が動いていないのに不思議。GDPなどの政府統計は疑問や興味を持って聞くようにしよう。
Facebookは無料でサービスを提供している。ユーザに調査をしたら中間値で毎月$48。こういう値段以上に提供されているものはcounsumer surplusと呼ばれる。MITの研究者たちはこれを追加したGDP-Bという指標を提案した。
Spotifyのようにリアルタイムで色々なデータが集められる仕組みを政府や会社のポリシー策定に活かせないだろうか。
Big data, big mistake
Quantification bias. 測れる物ばかりに注目してしまって正しく物事をしれないこと。良い事、新しいことをする従業員と悪い事が起こらないようにする従業員とで比べると前者の方が評価が良くなってしまう。
マーケティングでよく言われるのは予算の半分は無駄だが、どの半分が無駄かわからないということ。マーケティング部門のボーナスは施策とその結果によるので人々は血眼でそのデータを探すが因果と相関を離すのは難しい。
AIでなんでも解決出来ると謳う会社が何億円も投資を受けているが果たして本当に良い結果が出ているだろうか。
Net Promoter Score (NPS). 他人にお薦めしますか?という0-10のアンケートで9,10はプラス5以下はマイナス。その間は無視するという考え方。著者曰くこんな数字だけでは役に立たない。平均を2から7にするよりも7から9にする方が重宝されてしまう。
Conclusion: Builders and Farmers
会社の状況によって必要な人材は変わる。Builderはゼロから作る人、farmerは持続可能な形にする人。