アメリカの公立学校Summit Schoolの子供は”充実した人生を過ごす方法”を学ぶ。大学に行くことはその後の人生の金銭面では重要だが、そこがゴールではない。著者はSummit Schoolの創立者で、この学校を作るためにさまざまな実験をしてフィードバックを集めたり、デザイン思考を取り入れて改善した。その試行錯誤の過程を解説する本。子どもが身につけるべきスキルや自ら学ぶ姿勢を手に入れる方法(プロジェクトワークや自分で立てる勉強計画)を紹介する。
ニューヨークの図書館の電子書籍を借りた。
Part Ⅰ Why Prepare
充実した人生とは次の項目に満たされていること:
- financial security
- Purposeful work
- Strong relationships
- Meaningful community
- Personal health
今の学校は工場勤務の人を育てるデザインのまま時代についついけていない。
Self-directed cycle. 生徒が自分で計画を立て、遂行し、見せる。定期的に信頼できるメンターからフィードバックをもらう。
Part Ⅱ How to Prepare
Real-World and Project-Based Learning: Speaking Out
Project-based Learningは自由研究をずっとやってるみたいなもの。自分の周りに関係ある繋がりを見つけて問題解決するテーマを見つける。
業者のやつも探したけれど値段が高くて自分達で用意する事になった。
偉人がアメリカの地に来た時のトランクの中身をプレゼンテーションする。
法律がどうやって成立するかをロールプレイ。
Sim Cityでは都市計画を立てる。汚染、電力、交通。市のプランナーやデザイン会社の偉い人が見にくる。
グループワークでは得意な分野と伸ばしたい分野をペアにして作業する。
普通の親はPBLで育ってないので不安だがPBLの方がテストの成績もいい。
複雑なトピックでも見方を変えて議論する事が出来るようになる。
Self-Direction: The Fallacy of Sink or Swim
化学の試験を受けたいから科学の先生にメンターしてもらって自分達で勉強するSummitの子ども達の例。
これからの時代人から言われてではなく自分で学ぶ力をつけることが大切。
SMART. 測ることのできる目標を立てる。60分だけでも立てる。他の人の目標にフィードバックをする。終わったら振り返り。
他校から転校してきたWillはこれまでギリギリまで勉強せずテストをやり過ごすことが学校だった。Summitに来て自分で勉強することになったが3週間何も勉強しなかった。パソコンで何かやってるふりをしてたのを先生もメンターも校長も知ってた。3週間後ようやく自分で学ぶことができるようになった。
3週間も放置することに反対する親もいるかもしれない。しかしこの期間のお陰でWillは残りの人生で役に立つ自分自身で学ぶ力付けたのだった。
高校で自分で学ぶようになると親もわからない問題がでてくる。親は子に頼られるのが好きだから不安になるがそれを乗り越えないといけない。
失敗が命に関わらないこと。 失敗から何かを学び、それを楽しい、またやりたいと思えること。
Reflection: Max's Mentor
15-20人のメンター制度。メンターは家庭訪問とかもする。推薦書も書く。毎週1 on 1もする。
Maxはどもりを持った生徒。スピーチの授業で頑張って発表した。
メンターは質問を与える。答えるのは生徒で生徒のやりたいこと、大事にしてる事、やるべきだと思っている事を明らかにする。
Passion projectでは"Does this project impact anyone else besidet you and in what ways?"が聞かれる。母親が期待する以上の教育を受ける場合もあるし、プロジェクトのトピックの場合もある。
例
- スノーボードがオリンピックのスポーツになるべきの理由
- 月の輪熊と私
今までの学校の成績付けは振り返りが上手くできていない。なぜなら生徒は基準に従った採点をしないから。生徒同士で採点させる。
著者の子どものThank you noteが味気ないものだった。子どもに何を感謝してるか聞いて、それが読み手に伝わるようにしなさいと説明する。要点を支える論理構造を"採点"するとしたら何点を付けるか、聞く。
Pink reflection sheet. 喧嘩したときに埋めるシート。相手の立場に立って考える。感情を書き出す。悲しいのか、イライラするのか。(disrespectは相手のアクションが入ってる) Nonviolent Commumicationに通じるものがある。
Ings. 職業ではなく、その職業で何をしている時が楽しいか。
Collaboration
多数決は負けた方のやる気を削ぐ。"I didn't vote for that.”を無くしたい。
先生の間でdecision gridを作った。
- Decisions (D)
- Veto (V)
- Proposal (P)
- Input (I)
- Bust-be-informed (MBI)
参加者の期待を合わせられる。
全部を決めたがる人はいないが、皆誰がどうやって判断をしてるか知りたかった。
グループワークは失敗する原因は2つある。まず一つはタスクがグループワークに向いていない事。タスクは難しい(complex)問題を違った経験やスキルや知識で解くものであるべき。正しい答えはない。
2つ目の失敗はタスクが複雑なときに誰も大人がコラボレーションを教えない事。とあるグループワークがうまくいかない時生徒がグループを分けたいと言ってきた。先生はそれは駄目と、なぜならこの授業で大切なことは(気が合わないかもしれない)違う人達と一緒に物事を成し遂げる事だから。このケースでは各自がお金の事について自身の理解を持っていたが、他の人達がそれを尊重しておらず、皆が自分の考えを話したがらなかった。
STP processはグループワークで役に立つ。 - Identify the Status - Define the Target - Develop the Proposal
Part Ⅲ What is Prepared
Curiosity-Driven Knowledge
自分でトピックを選んで学ぶ時間を作った。生徒からのフィードバックも集めた。例えばトピックのレビューシステムが欲しいとか、何を学ぶのかはっきり判るようにしてほしいとか。
良い先生の像。完璧な知識と質問で生徒を導く。悪い先生はつまらなくて、生徒の生活と関係ない話をしてる。強制的だから?他の自己学習と同じように、先生の授業もoptionalにしてみた。数週間だけの実験。次第に参加者は減っていったが先生の授業のランキングは下位。ついに上位に来た時は3人しか生徒が残っていなかった。大人数の授業では自分の知っていることをずっと聞いてないといけなかったが、少人数になると先生は生徒に知りたい事を聞くようになったのだった。つまり、この時先生はチューターとして動いていた。
Tutor's Barという試みをしたら大人気。待ち時間が長くなり生徒同士で教え出し、生徒同士教え合うエリアも作った。オンラインにも作った。教える事で達人になる。
ジェットコースターが好きな子は建物の安全性や歴史を学ぶ動機になる。
Innovation Summit
2日間のデザインワークショップ。
もし学校の作り方を間違えてしまったらどうするのか、という問いに対して自動運転をしていたインストラクターの答え。リスクはある。ただ、今何もしなければ防げるはずの命が失われていく。他人の人生が掛かっている問題に対して、リスクを恐れて何もしないのは倫理的だろうか。
先生達に子供に持ってもらいたいスキルを統一させる機会がなかった。子供からしたら先生ごとに違うスキルを要求されていて統一感がない。Summitでは世の中で生きていくのに必要なスキルをゴールとして、大きな壁に書き出した。Summitの200種授業は7個のうちどれかに該当する。
- Textual Analysis
- Product & Presentation
- Inquiry
- Analysis & Synthesis
- Speaking/Listening
- Composing/Writing
- Using Sources
参加者は先生で、子供や保護者にインタビューして最後にみんなで投票する。このワークショップで子供のために頑張るという価値観を共有した。
Epilogue
このサミットの取り組みに共感してくれる公立高校向けに教材を公開し、グループワークも主宰する。300校以上が参加してくれている。